スギ以外の花粉症

スギ以外の花粉症

日本には、スギ以外にも花粉症を起こす樹木がたくさんあります。

日本で花粉症と言えばなんといってもスギ花粉症ですが、実は日本にはスギ以外にも多くの樹木花粉症が知られています。

「スギ花粉の時期でもないのに鼻水が止まらない」「スギの木がないのに目がかゆい」・・・

そんな時は他の植物の花粉症かもしれません。

ここではスギ以外で花粉症を起こす樹木と、それぞれの花粉症の特徴を紹介します。

ヒノキ(ヒノキ科)

スギとヒノキの花粉は飛散時期がほぼ一緒ですが、通常ヒノキ花粉の方が少し遅れて飛びはじめます。
スギとヒノキ花粉は形もよく似ていますので、スギに反応する人はヒノキにも反応しやすく、スギ花粉症の方の約7割がヒノキ花粉にも反応すると言われています。
このような人は、スギ花粉症シーズンの終わりころにヒノキ花粉による症状が加わって重症化することもあるので、花粉飛散情報を確認し、シーズンを通しての治療が必要です。

シラカバ(カバノキ科)

北海道ではスギ、ヒノキの花粉症はほとんどありませんが、そのかわりに、シラカバ花粉症がみられ、患者さんも徐々に増えています。
飛散時期は4月中旬~6月初旬頃で、主な症状はスギ花粉症と同様に鼻水、くしゃみ、目のかゆみです。
特徴的な症状として、一部(20~30%)の人で口腔アレルギー症状を起こすことがあります。
リンゴやキウイなどの果物を食べると口の中がかゆくなったり腫れたりします。

職業病としての花粉症

イチゴ(4月~5月)、リンゴ(4月~5月)、バラ(3月~5月)、ウメ(2月~3月)などでは、これらの植物を栽培している人に起こる一種の職業病と言える花粉症が報告されています。
これらは虫媒花であり、花粉は遠くまで飛ばないため、日常的に触れる人に限って起こるのです。
人工交配作業(花粉をおしべからめしべにつける)をする時に長そで、長ズボン、メガネ、マスクを着用するなどして花粉に触れる量を減らすことで予防します。

口腔アレルギー症候群

ヒノキ、シラカバなどカバノキ科の花粉症の人が果物を食べた時に、口の中がかゆくなったり腫れたり、といったアレルギー症状が起こることがあります。
その原因は、果物のタンパク質と、カバノキ科の花粉のタンパク質がよく似ており、花粉に反応する人はこれらの果物にも反応してしまうことがあるからです。
生で食べた時だけ症状が起こり、ジュースや調理した果物では起こりにくいと言われていますが、個人差があるので油断禁物です。

  • 花粉症の人がアレルギーを起こしやすい果物

リンゴ、モモ、さくらんぼ、カキ、キウイなど。

身近な植物の花粉「草本(そうほん)花粉」

夏から秋にかけて、目のかゆみやくしゃみ、鼻水など、花粉症の症状が出たら、その原因は「草本花粉」かもしれません。

草本花粉とは、イネ科やキク科、ブタクサ属などの、背が低い、いわゆる雑草の花粉です。

スギやヒノキなどの花粉は高い木から風にのって数10kmも飛散しますが、これらの草本植物は丈が低く、花粉は数10mの範囲にしか広がりません。
そのため、その植物が生えている場所に近づかなければ、かなり花粉を避けることができます。
花粉が飛散していない時期に、それらの植物が生えている場所を確認しておき、花粉の飛散時期がきたらそこには近づかないようにするとよいでしょう。

ハンノキ(カバノキ科)

飛散時期は1月~4月頃で、日本全域に分布しています。
北海道と、本州では北陸地方に多いと言われています。
北海道では、本州のスギ花粉と同じころに飛散が始まるため、スギ花粉症と勘違いされることもありますが、北海道にスギはほとんど生えていないため、2~3月の花粉症はハンノキによるものです。
シラカバ同様に口腔アレルギー症候群が起こることがあります。

オリーブ(モクセイ科)

オリーブ栽培がさかんな瀬戸内地方に特徴的な花粉症で、飛散時期は5月下旬から6月上旬です。
100年前からオリーブ栽培を始めている小豆島では、春~初夏頃に鼻アレルギー症状を示す患者の約4分の1がオリーブ花粉症と言われています。
カモガヤと飛散時期が重なることから、オリーブとカモガヤ両方にアレルギーを示す人もいます。

コナラ、クリ(ブナ科)

ブナ科の樹木は日本全域の日当たりのよい山野に生息しており、花粉の飛散時期は日本の北部では5~6月頃、中央部以南では3~5月頃です。
ブナ科にはブナ属、コナラ属、シイノキ属、クリ属などがありますが、主に花粉症の原因となるのは、風媒花(風によって花粉をめしべまで運ぶこと)であるコナラ属(コナラ)です。
コナラの花粉が終わると、今度は虫媒花(虫によって花粉をめしべまで運ぶこと)であるクリの花粉症が起こります。

オオバヤシャブシ(カバノキ科)

3~4月頃までが花粉の飛散時期です。
主な飛散地域は過去に大量植樹が行われた兵庫県の六甲山周辺だったのですが、最近では新興住宅地を中心に全国的に植樹されるようになり、オオバヤシャブシの花粉症は拡大傾向です。
カバノキ科なので、シラカバ同様に口腔アレルギー症候群が起こることがあります。

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